設計には、1.意匠設計・2.構造設計・3.設備設計の3タイプがあります。「1.意匠設計」は建物の配置・間取り・デザインを考える設計ですが、デザインが良いからといって間取り計画が優れているわけではないし、建物の安全を考える構造計画が良いとは限らないのです。
そもそも住宅の良し悪しはデザインだけで決まるわけではない。むしろデザイン性を強調する設計者には特に注意することです。理由は建築主側の要望より設計者の拘りを優先にする、あるいは、「他社との設計比較をしながら良い設計を望む」建築主を好ましく思わない傾向があるからです。
✔デザイン性が高いと、良い住宅と思ってしまう
住宅は様々な機能をもつ生活する所です。ところが、デザインを強調されるあるいは特殊な工法を主張されると良い住宅であると思ってしまう。住宅はもっと複雑でいろんな性能・機能や要素で構成されています。
「住宅の快適性」に関しても室内気候や生活機能あるいは家族関係もあります。「一つのこと」で住宅の良し悪しを評価することはできないでしょう。住まいづくりをして失敗したことのアンケートにも「デザインよりも、他の後悔が多い」のです。
✔一級建築士がいると、良い設計をしてくれると思ってしまう
医師には内科・外科・診療科‥‥の各専門分野があり、内科にもそれぞれの専門分野があります。料理人にも専門分野があって得意な料理・不得意な料理があります。設計士にも同じように専門分野があり得意不得意があるものです。
設計士は設計業務ができる一通りの知識を持っていますが医師でもなく教育者でもなく学者でもないのです。従って、建築以外のこと、例えば、健康・教育・家庭・経済‥‥はそれぞれの専門家の領域になります。
良い住宅の設計を望むなら、設計担当者の「住宅の考え方」を最初に確認してから設計業務を進めて行くことが望ましい。
✔木造など自然素材を強調されると、それが「健康住宅」と思ってしまう
少し考えればわかることですが健康は「食事・睡眠・運動・ストレス」が関係しています。木造住宅や自然素材を多く使用しても家族が健康的に生活ができるわけではありません。
家族が健康に暮らせるには”健康に暮らせる、生活環境」”をつくることです。例えば、睡眠で疲れをとる寝室には十分な酸素・暖冷房の室内気候や騒音対策、日常生活で家族が健康に暮らせる生活環境はもっと複雑です。決して、木造や自然素材だけでは不十分です。
✔特殊な工法が、良い住宅と思ってしまう
特殊な断熱工法・特殊な耐震工法あるいは特別な建築部材や設備機器‥‥。どのような特殊な工法や素材は住宅の一要素に過ぎないので、住宅全体を評価することにはならない。
今はどのような工法・建築部材にもそれに代用するものはいくらでもあります。一つのことが優れていても良い住宅であると判断しないことが賢明です。 |